私たちはカフェインに依存していることを認めるべき時が来ているのでしょうか? カフェインが私たちにどのような影響を与え、なぜそれが非常に人気があるようになったのかを探ってみましょう。
日常のあらゆる物に含まれているカフェイン
恋人たちは歩道のカフェでエスプレッソを飲みながらキスを交わし、ウキウキしたチアリーダーたちはアイスエナジードリンクの入ったクーラーに向かいます。そして幸せそうな子供たちは、私たちの幼少期のお気に入りのキャンディバーを含むジャックオーランタンのかごを振っています。これらのなじみ深い光景の裏に、アメリカ人の多くが強力な精神刺激薬であるカフェインに依存していることを秘めています。
カフェインは、世界で最も広く使用されている精神刺激薬の1つです。コーヒー、紅茶、エナジードリンク、ソフトドリンク、チョコレートなど、さまざまな形でたくさんの人々が毎日カフェインを摂取しています。
カフェインは、脳内のアデノシン受容体をブロックすることによって作用します。アデノシン受容体は、睡眠と覚醒を調節するために働きがあります。これらの受容体を抑制することにより、カフェインは覚醒度を高め、認知機能を改善し、疲労感を軽減する効果があります。ただし、カフェインの効果は人によって異なり、過剰摂取は不眠症、不安、落ち着きのなさ、不規則な心拍数などの悪影響を引き起こす可能性があるのです。
なぜカフェインがこんなに人気になったのか?
その答えは、エネルギー増強する効果にあります。忙しい多くの人々が集中力を高め、生産性を向上させるためにカフェインを摂取しています。
80%以上のアメリカ人が1日あたり100 mgを超えるカフェインを摂取していると推定され、アメリカ食品医薬品局の推定はさらに高いとされています。
2010年のアメリカ食品医薬品局の報告書によると、およそ90%の人々が1日あたり200 mg以上のカフェインを摂取しているとされています。これらは自己申告に基づくものであり、実際にはさらに高い可能性があります。カフェインをコーヒーや紅茶から摂取しているユーザーが約54%がおり、カフェイン含有量は種類や抽出方法によって大きく異なるためです。
また、同じ種類のコーヒー豆や茶葉を同じ方法で抽出した場合でも、飲料のカフェイン量は大幅に異なることがあります。
カフェイン含有量を測定した研究
南フロリダ大学の研究では、同じスターバックス店から「ブレックファストブレンド」という約500mlののコーヒーを6日間連続で購入し、カフェインの含有量を評価しました。同じ店の同じ飲み物の同じ量でも、カフェイン含有量は250 mgから564 mgまで異なっていました。これは1日あたりのカフェイン摂取量が一定ではなく、実際には前日より2倍多い可能性があることを示しています。
このような変動は、私たちがどのように感じ、どのように考え、どのように機能するかに大きな影響を与える可能性があります。しかし私たちは自分たちがどれだけ摂取しているか知る方法がほとんどありません。私たちの多くは、そのことについて考えることすらありません。
一般的な市販のエナジー製品(錠剤、カプセル、エナジードリンクなど)も同様に変動する場合があり、ラベルに記載された用量の20%の変動範囲内に収まらないことがあります。最近の研究では、米国軍のさまざまな基地のコンビニで購入されたエナジー製品のカフェイン含有量を評価しました。20種類の製品のうち9種類の製品しか正確な表示をしていませんでした。
ほとんどの人がカフェイン依存症?!
毎日100mgのカフェインを正確に摂取していたカフェインユーザーが、急にこの摂取量を中止したとします。ほぼ全員が頭痛、倦怠感、集中力の欠如などの身体的および心理的な離脱症状を経験します。つまり、ほとんどのアメリカ人はカフェイン依存症です。
そして、ほとんどの人が「朝のコーヒーが大好き」とか、「無性にコーラが欲しくなる」とか、「チョコを辞められない」と言います。しかしそういう人々がカフェイン中毒者と呼ばれることはあまりないでしょう。
毎日カフェインを摂取すべきかという問題は置いておいて、私たちの多数がカフェインを毎日摂取しているという単純な事実があります。それについて国民的な議論がほとんど行われていないのは不思議なことです。私たちは、自分たちの習慣について集団的な否定的な状態にあるかのようですが、なぜでしょうか?
なぜみんなカフェインの危険を無視するのか
私たち人間は社交的な存在です。これは、生き残るためと繁殖するためには、少なくとも最低限の交渉が必要であることを意味します。他人から何かを隠すためには、まず自分自身から隠す必要があります。人間の進化史の過程で、社会的に疑問視される可能性のある行動を隠す方法を進化させてきました。「カフェインはポジティブな効果のほうが多く、ほとんどの人にとって悪影響はあまりない。」と考えている人がほとんどです。自分がカフェインに依存症であると思いたくない人がほとんどで、現実から目を背けているのです。
行動経済学者のダン・アリエリは、「私たちは自分たちが選択した決定や人生の方向性を究極的にコントロールする運転手席に座っていると考えがちですが、残念ながら、この認識は私たちの欲望、つまり自分自身をどのように見たいかに関係がある」と述べています。
私たちはなぜカフェインを摂取するのか
カフェインには記憶を向上させ、パーキンソン病の発症リスクを低下させる効果があります。胆嚢を刺激し、胆石のリスクを減少させる効果があるかもしれません。血管を収縮させ、頭痛の痛みを軽減する効果があります。また、眠気を覚まし、集中力を一時出来に上げてくれます。
しかしカフェインには欠点があります。カフェインは、睡眠を促す神経受容体であるアデノシン受容体をブロックするため、摂取量が多すぎると睡眠不足や疲れを引き起こす可能性があります。また、敏感な人には、カフェインが神経質や不安を引き起こす可能性があります。カフェインは骨密度の減少、血糖値の上昇、鉄分吸収の阻害、脱水症状を引き起こす可能性があります。
これらの利点や欠点は私たちがカフェインを愛する理由とは関係がないでしょう。私たちは、カフェインが私たちに与える気分に惹かれているのです。カフェインは低用量ならポジティブな効果が証明されています。 被験者は「エネルギッシュで、想像力に富み、集中して仕事をすることができます」と述べています。そのため、私たちは何千年もの間、カフェインを使用してきたのです。
ミツバチのように
蜂の専門家であるジェラルディン・ライトは、カフェイン入りの蜜が、ミツバチの学習プロセスを向上させることを発見しました。彼女は「植物は自身の受粉のために、カフェインを利用して蜂の行動を変えている」と説明しています。
カフェインを含んだ蜜を生産する植物には、ミツバチが戻ってくる可能性が高いということが明らかになりました。この研究は、植物と蜂の進化的相互作用を明らかにしました。
ミツバチがカフェイン入りの蜜を産む植物に何度も戻ってくるように、カフェインの常用者は冷蔵庫からコーラやコーヒーを取り出すのです。
まとめ
カフェインは、コカインなどの他の薬物と同様に「依存性」があります。
カフェインはコカインと同じく中脳ドーパミン系の活動を増加させます。カフェインが切れてくると倦怠感に襲われ、また摂取したくなってしまうのです。カフェインの取りすぎによって体調に問題が出でいる場合は、カフェインの摂取量を減らしていく必要があるでしょう。
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